(がん関連情報)~肺がんには2種類ある

 肺がんの気管支内視鏡検査の難しさは、大部分の肺がんが内視鏡の届く範囲外にあることにある。通常、内視鏡検査は直接病変を見るための検査である。しかし、気管支鏡によって見える範囲は、直径6mm前後の気管支鏡が届く範囲に限られる。多くの肺がんは、この内視鏡の届く範囲にはない。

 では、その気管支鏡検査は、どうやって行われるのか。同じ肺がんであっても、まったく違うと言っていい2種類のがんがあるので、気管支鏡検査も二通りのやり方がある。

 これを理解してもらうため、少し難しいが、まず肺の基本構造について説明をなければならない。肺という場合、通常、気管支を含めていうことが多い。しかし、正確にいうと肺と気管支は異なる臓器である。

 つまり、肺は吸い込んだ空気の貯まる袋(肺胞という)であり、それに接して毛細血管が取り囲んでいる。そこで肺胞に吸い込まれた空気の中の酸素とそれに接した血管の中の二酸化炭素が入れ替わる。これをガス交換という。それを行う場所が本当の意味の肺であり、呼吸に合わせて空気が出たり入ったりする通路が気管支である。

 そして、気管支にも、その中に軟骨があって、しっかりとつぶれないようにできている出口に近いところの太い気管支と、肺胞につながる軟骨のない細い気管支とがある。がんはどこにもできるが、通常、太い気管支にできるがんは扁平上皮がんというタイプのがんであり、喫煙と直接関係するがんで、顕微鏡で見た姿は皮膚がんと似ている。

 一方、肺や細い気管支にできるがんは腺がんというタイプで、消化器や乳腺などの粘膜からできるがんと同じ腺がんというタイプのがんであり、喫煙とは必ずしも直接関係しない。

 以上のように、肺がんには太い気管支にできるがんと肺およびそれにつながる細い気管支にできるがんの2種類がある。そして、太い気管支にできる扁平上皮がんは、気管支鏡検査で診断しやすい。

 また、太い気管支は空気の通り道であると同時に、痰の通り道でもあるので、そこにできたがんの表面からこぼれ落ちたがん細胞が痰といっしょに出てくることが多い。つまり、太い気管支にできたがんは痰の検査で診断ができることも多いのである。

 一方、肺そのものおよびそれに近い部分にできる腺がんは気管支鏡では見ることができないので、その検査にはひと工夫が必要である。X線透視テレビという装置を使うのである。肺にできたがんはX線写真でカゲとなって見えるので、同じX線を使った透視テレビ装置を使うと、テレビの画面にX線写真とまったく同じような動くカゲが見える。

 したがって、気管支鏡を通して見えるカゲの部分に病巣の一部を採取する道具を入れ、それを使って病巣の一部を取ってきて、それを顕微鏡で見て診断する。つまり、通常の肺がんは、少し手のこんだやり方で診断する必要がある。だから、肺や細い気管支にできた小さい肺がんほど診断が難しい。NMさんの場合もそうだった。

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