(がん関連情報)~乳がんの放射線治療

 乳がんは皮膚のすぐ下に存在するので、放射線のエネルギーが届きやすく、放射線治療は効果がある。乳房温存手術後も、もしかして取り残しのがんがあるかも知れないと考え、放射線治療を追加することが多い。

 乳がんのリンパ節転移も、放射線治療が有効である。もちろん、胸部の深いところまで転移が広がってしまうと、治療効果は減退する。しかし、リンパ節転移が胸部の筋肉の中や脇の下までに留まっている間ならば、からだの表面近くなので乳がんそのものと同じように放射線治療は効果がある。

 放射線治療は、転移の広がっていないがんの根治療法のひとつである。からだの一部分に対する治療を、局所療法という。手術は、がんに対する最も確実な局所療法である。しかし、正常なからだの一部も病巣とともに切り取られることになり、それによってからだの機能が失われるという欠点を持つ。

 放射線治療も、がんの局所療法のひとつであるが、からだを切り取ることがない分、からだの働きを損なうことが少ない。もちろん、放射線がからだに当てられることによって、当たった部位にはやけどのような後遺症が残る。それがひどい場合には、その部分の機能障害となることもある。

 たとえば、子宮がんの放射線治療のあとに腸の癒着が起こって、腸閉塞が起こるようになることがある。これは、放射線照射によって腹膜に炎症が起こり、それが治ったあとに腹膜の癒着を起こすことが原因である。

 さらには、胸部の放射線照射のあとに起こる間質性肺炎や肺線維症という病気がある。これは、放射線照射によって肺組織が障害されたために起こる後遺症である。

 また、がん細胞は放射線によるダメージから回復できないために死ぬが、ほとんどの正常細胞は回復能力を持つ。しかし、脳や脊髄の細胞は回復力がないために、放射線照射後、しばらくしてから(数か月から数年後)マヒなどの神経細胞障害の症状が出てくることがある。

 放射線治療は、このように治療後しばらくしてから障害が出てくることがある。したがって、治療に当たっては、そのような予想される障害をできるだけ減らすように、照射の量や範囲が綿密に決められる。

 その点、皮膚や皮膚の直下の病巣では、内臓に放射線を当てずに病巣に照射することが可能なので、より効果のある照射ができる。したがって同様に、乳がんに対する放射線治療は高い治療効果が期待できる。

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