がん友(MYさんの場合)~「がん友(とも)」と抗がん剤治療

 MYさんは、退院後1か月に一度大学病院の外来に通った。そのつど、自分の入院していた病棟を訪れ、まだ入院を続けている病友を見舞った。そう、この治療を共にしたがんの病友を、MYさんは「がん友(とも)」と呼ぶ。

 かれらは、抗がん剤の治療を続けていた。点滴の回数が増えるにつれ、それまで元気だった「がん友(とも)」は元気をなくしていった。

 ある「がん友(とも)」には、抗がん剤治療で免疫力が落ちたからという理由で面会ができなかった。その後、もとの部屋にやっと戻ったその「がん友(とも)」は、すっかりやつれて見る影もなくなっていた。しかも、何回もの抗がん剤の点滴治療を受けてきたにもかかわらず、その「がん友(とも)」は亡くなった。

 毎月「がん友(とも)」を見舞ったが、ほとんどの人が同じような状態になっていった。見舞うたびにベッドに横たわる「がん友(とも)」はやつれ、その後、つぎつぎと亡くなっていったのである。弱ってベッドに横たわる「がん友(とも)」を見るのは寂しかった。

 同時に、抗がん剤治療の怖さを実感した。抗がん剤はがん細胞を殺すかもしれないが、正常な細胞も殺す。大事な免疫細胞も殺すのだ。そのために免疫力がなくなってがん細胞の成長を助けるだけになるのではないか。それは、まさに体にとって毒だと思った。MYさんは、そんな毒を盛られるくらいなら、がんで死んだほうがいいと思った。

 MYさんは、絶対に抗がん剤治療は受けないと決心した。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

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