がん友(MYさんの場合)~がんと痛み

 そうして2年が経った。MYさんは、まだ生きていた。しかも元気だった。しかし、脇の下の転移巣はさらに大きくなり、そして痛みがでてきた。がんが脇の下を通る神経に食い込み始めたのだ。これががんの痛みである。つぎの大学病院での診察の時、主治医にひどい痛みが出てきたことを話した。

 がん細胞は、たとえ骨であっても壊しながら増殖する。がんによる骨の壊され方には二通りがある。一方は、骨髄に転移して、そこからがんが大きくなり骨を壊すもので、もう一方が、骨のそばのリンパ節などに転移が起こり、それが大きくなって骨を外から壊すものである。

 どちらが痛いかと言うと、後者の方が痛い。どうしてか。それは、骨膜に痛みの神経があるからである。痛みの神経のある骨膜にまでがんが及べば、それが壊されるので痛い。しかも並みの痛みではない。

 このように、体の中にはがんがあってもすぐには痛みを感じないところと、強い痛みを感じるところとがある。がんイコール痛みではないということである。

 では、どういうところで痛みを感じるか。まず、神経そのもの。これは説明の必要はないだろう。神経ががんによって直接壊されることになれば、当然痛みが起こる。これは、Mさんに最初に起こったことである。つぎが、胸膜や腹膜といわれる内臓を包む膜。ここも痛みを感じる。そして、骨膜である。

 それ以外のところでは、たとえがんがあっても痛みを感じることは少ない。たとえば、肝臓や肺にがんがあっても、それを包む腹膜や胸膜にまでがんが及ばなければ、痛みを感じることはない。つまり、かなり大きくならないと痛みを感じないのである。腹膜におおわれていない腎臓やすい臓の一部では、がんがかなり大きくなっても痛みを感じない。だから、それらの場所にできたがんは、早期発見が難しい。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック