治療させてもらえなかった乳がん(SIさんの場合)~センチネルリンパ節生検とSIさんの手術

 このリンパ節転移の有無を調べる方法をセンチネルリンパ節生検法という。

 センチネルとは、見張り番のことである。難しい言葉で、前哨や歩哨といわれる。大もとの病巣から出たがん細胞がリンパ管の中に入って進み、しだいにリンパ節に転移巣を形成する。そのリンパ節転移の、最先端の部分をセンチネルリンパ節転移という。

 これを調べるには、がんの病巣から脇の下に行くリンパ管を見つけ、そのリンパ管に先にある脇の下のリンパ節を切り取って顕微鏡検査する。

 そのリンパ管を見つけるためには、がんの近くの皮下に色素剤などを注射すればすむ。皮下に注入された色素は自然にリンパ管の中に入るので、それを追いかけると脇の下のリンパ節にたどり着く。そのリンパ節がセンチネルリンパ節である。

 そこに転移がなければ、脇の下のリンパ節を取る必要はなくなる。そうすれば、手術の後に手術した側の腕のむくみが起こらなくなる。ただし、そのリンパ節に転移があった場合は、仕方がない。脇の下のリンパ節は可能な限り取らなければならない。それがリンパ節郭清である。

 しかし、SIさんには、手術は行われなかった。SIさんのがんは、肋骨そのものを壊すまでではないものの、その周りにまで進んでいると考えられた。しかも1本ではなく、数本の肋骨の周囲に及んでいるようだった。したがって、手術をすれば、それらの肋骨もすべて切り取る必要がある。そのような大手術は避けるべきと主治医は判断した。

 ホルモン療法は効果があったが、まだSIさんの乳がんは生き残っている。これから、SIさんは放射線治療を受ける予定である。放射線治療は、手術と同じように乳がんを根治できる可能性のある治療法である。

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