がん友(MYさんの場合)~PET検査を巡る主治医とのトラブル

 MYさんにもステロイド剤による副作用が起こった。太っただけでなく、糖尿病も出た。それにもかかわらず、予定の放射線治療が終わった時点でも、まだ痛みとむくみは残っていた。主治医は、抗がん剤の点滴治療も追加したほうがいいだろうと言った。

 抗がん剤治療については、放射線治療中、MYさんは放射線治療医になんとなく相談したことがあった。
「抗がん剤の治療は受けたくないんですが、先生、どうでしょう?」

 放射線治療の担当医は応えて言った。
「なにがなんでも抗がん剤ということにはならないと思うよ。抗がん剤を使うのは、がんの状態を調べてからでいいと思う。そのためには、PETをやってみるのも一つの方法だと思う」

 PETとは、Positron Emission Tomographyの略。ポジトロン断層法と呼ばれる。ポジトロンとは陽電子のこと。臓器の物質代謝を反映する陽電子を検出して画像化する装置で、脳の機能やがんの診断に使われる。PETで見ると、がんのあるところは色づいて見える。

 このことを思い出したMYさんは、それをそのまま主治医に言った。
「先生、PETをやってもらえませんか?」

「どうして、突然そんなことを言うんだね?」

「放射線科の先生に、やってみたらどうかと言われたことがあるんです」

 少しの間を置いて、主治医はそっけなく言った。
「それなら、放射線科の先生にPETの指示を出してもらえばいい」

 そして、主治医は部屋から出て行ってしまった。
 MYさんは、主治医のプライドを傷つけてしまったと思ったが、後の祭りだった。

 しかし、まもなく主治医が戻って来て言った。
「そうだな、やっぱりPETをやってみよう。その結果を見て、どうするか最終的に結論を出そう」

 このとき、MYさんは確信した。やはり、どんなことでも自分で思っていることを主治医に話すことが大事だ。たとえそれが主治医の気分を害することになったとしても、自分が真剣に考えていることならば、いつかは必ず通じるはずだ、と。

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