がんとの長いつきあい(KGさんの場合)~ゆっくり進む前立腺がん

 ただし、なにもしないで様子を見るという場合、高いままのPSAの数値を見せられて、なにもしないで行くことに本人が耐えられるかどうかが一番の問題である。前立腺がん検診としてPSAを調べることを積極的に受け入れない考えの根拠のひとつがこれである。

 つまり、PSA検査で異常が出た場合、ほとんどのひとはがんに対する不安を強く感じ、前立腺がんを調べる検査を受けるだろう。そして、がんという結果が出れば、だれでも治療を受けるだろう。

 しかし、その治療は本当に必要な治療か?これが難しい。現在では、ゆっくり進む前立腺がんは、すべて治療が必要とは限らないと考えられている。とくに高齢者では、前立腺がんが大人しいものであれば、それによって命を奪われる前に、天寿を全うすることだってあると考えられる。

 それに、前立腺がんは放射線やホルモン剤が効く。症状が出てからそれらの治療を行っても、命に関わることなく生きることができると考えられる。

 前立腺がん検診は、それによって死亡率を下げたという事実は認められていないと国が考えていて、自治体がそれを住民に行うことを勧めていないと前に書いた。

 それに加えて、検診を受けて異常値が出た場合、余計な精神的身体的負担を患者本人に与えることになるばかりではなく、それによって余分な医療費が費やされることにもなると考えられることも、大きな理由なのである。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

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