がんとの長いつきあい(KGさんの場合)~担当医の交替

 KGさんの奥さんは、医師に言われるままに経過観察を受けた。そうして2年が経った。まだX線写真に変わりはないという。

 その春、定期の異動に当たったらしく、担当医が変わることになった。

「KGさん。つぎの診察から担当が変わります。つぎの診察は、また3か月後ですが、今度からは新しい先生に見てもらうことになります」

 それまで見てくれていた担当医は、そのように言ってKGさんと奥さんに最後の挨拶をした。

 3か月後、新しい担当医の診察を受ける日が来た。新しい担当医は、KGさんの奥さんの胸部X線写真を見るなり言った。

「KGさん。これは肺がんの可能性が高いと思います。すぐに外科に手術をお願いするのがいいですよ」

 KGさんは、自分の耳を疑った。KGさんが最も心配していたことを、今度の新しい担当医は、X線写真を見るなり言ったのだ。

 KGさんは新しい担当医に聞いた。

「先生、どうして先生はそのように考えるんですか?」

 新しい担当医は答えた。

「奥様の肺のカゲは確かに大きくなっていませんが、まったく小さくなってはいません。これは、ゆっくり進む肺がんの可能性を否定できません。気管支内視鏡検査は、こういう状態では無力なことが多い。よほどのことがない限り、きちんと診断できないと思います」

「初めから手術をお願いするのがいいと思います。まずは、簡単な手術でやってもらいます。胸腔鏡を使った内視鏡手術です。」

 KGさんと奥さんは顔を見合わせた。

 KGさんは新しい担当医にさらに聞いた。

「先生、肺がんと決まったわけでもないのに手術とはどういうことですか?」

 担当医は答えた。

「手術とはいっても、簡単な手術です。胸にいくつか穴をあけて、内視鏡を使って肺の一部分を切り取ってもらうんですよ」

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