がんとの長いつきあい(KGさんの場合)~ホルモン療法の終了

 KGさんの腫瘍マーカーは下がったままだった。「もう自分のがんは大丈夫なんじゃないか」と考えたKGさんは、治療を止めることを主治医に頼んでみることにした。

 つぎの診察の日、KGさんは主治医に言った。

「先生、どうにもほてりと夜の動悸がつらくてしかたがありません。ホルモン療法の副作用ということですが、そろそろこの治療を終わりにすることはできませんか?」

 主治医は答えた。

「そうですか。そんなにつらいのならば、やめてみましょうか?7年経ちましたからね。あなたも80歳も間近になりましたし」

 主治医の言葉は簡単だった。が、その判断の裏にはいくつかの考えがあった。

 第一が、ホルモン剤の副作用である。長く使えば、それだけ心臓や血管に対する副作用が増える。7年は十分に長い年月である。

 つぎがKGさんの年齢だ。80歳といえば、日本人男性の平均寿命を超えることになる。この年齢で前立腺がんが再発しても、命に関わることになるまでに数年はかかるだろうことを考えれば、たしかにここで治療を止めてもKGさんの寿命にとって大きな問題はないかもしれない。

 このようなことを考え、主治医はKGさんの治療を止めるという申し立てに同意した。KGさんのホルモン剤の処方箋は、今回は出されなかった。

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