がんとの長いつきあい(KGさんの場合)~大学病院との別れ

 KGさんは考えた。手術の後、もうそろそろ10年になる。いままでお世話になった大学病院だが、もうこれで終わりにしていいのではないかと思った。

 自分の前立腺がんは治してもらった。今は、治すために受けたホルモン治療の副作用による症状が残るだけである。

 だから、いまの自分に必要なのはホルモン療法によって起こったと思われる更年期症状への対応だ。それに対して、大学病院の泌尿器の専門医では十分に対応してもらえない。

 KGさんは、結局、私の外来を受診した。

「先生、これからはがんの患者会の参加者としてではなく、外来患者としてお世話になります。動悸と手の震え、それとできれば顔のほてりもなんとかしてください」

 私は答えた。

「とにかく、ホルモン剤は止めるということでいいですよね。その上で、動悸と手の震えが止まるよう、新しい薬を出します。顔のほてりは、どうなるか少し様子を見ましょう」

 KGさんは答えた。

「分かりました。ホルモン剤はもう飲んでいませんから、そのままで構いません。動悸と手の震えを止める新しい薬だけを飲むことにします」

 こうしてKGさんは自分の大学病院の受診を止め、奥さんの受診に付き添うだけにした。幸いなことに、私からの薬は効果があった。動悸は止まり、手の震えもほとんど気にならなくなった。顔のほてりは残っているが、これは気にしないことにした。

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