胃の手術なんか受けるんじゃなかった(THさんの場合)~分け隔てないわが国の医療保険とTHさんの咳

 最良の医療を受けたいという患者の思いが、患者が卑屈になることの根底にあると前に書いた。しかし、医師にとっては、どんな患者でも同じように診療に当たるのは当然のことである。

 日本の医療保険制度のいいところは、どのような患者でも同じ料金で分け隔てなく治療を受けられるところだ。

 どのような細かな処置にも、どんな薬にもすべて値段がつけられている。保険点数という1点10円で換算する点数がつけられているのである。診療が終われば、医療機関はその内容に応じて点数を積算し、料金を請求する。

 ただし、患者が医療機関の窓口で払うのは、年齢や保険の種類によって決まった一定の額だけである。通常は3割だが、高齢者は1割である。残りの分は、それぞれの保険者側が払ってくれる。

 その料金を支払うことで、どこでも好きなところで治療を受けることができる。わが国の医療保険制度は、それを保障している。

 食事のたびに、どうやって食べたものを通過させるかが問題だったTHさんは、ときどき止まらなくなるほどの咳の出ることが気になった。そこでTHさんは、肺にも転移があると言われたことを思い出した。そして、やはりもう一度診察を受けておくのがいいと考え、私の外来を受診した。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

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