もう一度歩きたい(KKさんの場合)~肋骨への転移

 CT写真を見ると、やはり第12胸椎と呼ばれる最も下の胸椎につながっているはずの肋骨の端の部分が見えなくなっていた。やはり、骨が溶けていた。

 骨折の場合は、骨の輪郭をたどれば、折れた状態がはっきり分かる。ところが、KKさんの骨は折れたのではなく、溶けてなくなっていた。

 骨を溶かす病気、それはがんの転移である。がん細胞は、血流の多い所へ転移し易い。

 肺は、全身の血液がまわってくるところなので、すべてのがんの転移が起こる。肝臓は消化器の血液がまわるところだから、消化器のがんの転移が起き易い。そして、肺と肝臓のつぎに転移が起こることの多い場所は脳と骨髄である。

 KKさんの場合は、左の12番目の肋骨の胸椎との関節部の肋骨の骨髄に転移が起こった。そして、それがしだいに大きくなり、KKさんの肋骨を溶かした。

 骨は、それを包む骨膜に病変が及ぶと痛みを感じる。反対に言えば、たとえ骨が溶け始まったとしても、骨膜まで及ばなければ何も感じることはない。

 骨折の痛みは、折れた骨が骨膜を破ることによって起こる激しい痛みである。そして、がんの骨への転移による痛みは、がんが骨膜を食い破ることによって起こる痛みである。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック