もう一度歩きたい(KKさんの場合)~がんを治すための治療への思い

 KKさんは、突然の退院という言葉にまったく納得がいかなかった。

(自分はがんを治してもらいたいと思っているのに、どうして治療を受けることができないんだ?)

 KKさんは、たまらず主治医に言った。

「自分の体に悪さをしているがんが残っているなら、それを治してほしいんです。どうして治療ができないんですか?」

 主治医は少し間を置き、KKさんの目をじっと見て、言った。

「KKさん、背中の転移の場所へはもう放射線はかけられません。これ以上放射線をかけると、そのために脊髄が壊れてしまいます。それでは元も子もない」

 さらに主治医は続けた。

「そして、抗がん剤は放射線をかけたところには効きにくいんです。そもそも、強い抗がん剤を使いましたが、がんは小さくなりませんでした。つまり、抗がん剤を使って治療をしても、副作用に苦しめられるだけで、体が参ってしまうと思います」

 主治医はさらに言った。

「体が弱れば、がんはますます大きくなると思います。悪循環です。ですから、これ以上治療をやることは逆効果です」

 KKさんは愕然としたが、がん治療の難しさは十分に理解していた。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

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