もう一度歩きたい(KKさんの場合)~在宅へ

 こうしてKKさんの訪問診療が始まった。定期的に訪問して診療を行うことを訪問診療という。往診というのは、これに対して、定期外の訪問のことを指す。いずれにしても、在宅のまま受けることのできる治療である。

 在宅での生活は、KKさんにとって思った以上に楽なものではなかった。ただ、治療を受けることもできずに入院している時の気持ちに比べれば、家にいるほうが楽だった。

 もう自分で寝返りを打つのも大変だった。奥さんの力を借りて、時間を決めて体の向きを変えた。膀胱に管が入っているので、その具合を定期的に見る必要があり、訪問看護が入ることになった。

 まもなく訪問看護師がKKさんのお尻に床ずれができているのを発見した。同じ姿勢で寝ていると、圧迫が続くことによって血流が悪くなり、その部位が壊死に陥る。KKさんの奥さんは、自分の責任だと思った。

「自分がきちんと体の向きを変えてあげなかったからだ」

 訪問看護師から、介護保険の利用を申請して介護用ベッドと床ずれ予防のエアマットを使うようにすればいいと提言された。それは、すぐに実行された。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック