手術はイヤ(THさんの場合)~背中の痛み

  62歳になるTHさんは、活動的な女性だった。社交ダンスは大ベテランで、ダンス友達も多い。それにマレットゴルフでは、昨年度優勝したという実力の持ち主。こちらの友達も多い。

 そのTHさんは、最近、背中の痛みに気づいていたが、ダンスとマレットゴルフのやり過ぎかなと思う程度で、なにも心配はしていなかった。

 THさんが、その背中の痛みについてご主人に話すと、ご主人はすぐに言った。

「もう、それなりの年なんだから、きちんと診察を受けていたほうがいいよ」

 THさんも、その通りと思った。

「そうね。そうするわ。じゃあ、診療所で診てもらうことにする」

 そうして、THさんは私の外来を受診した。

 THさんは、痛みと食事に関係はありますかという私の問いに答えて言った。

「痛みと食事とは関係ないようです。背中の奥のほうのなんとも言いようのない痛みです」

 私は、THさんが痛みを感じるというあたりを叩いてみた。

「そこです。叩かれると奥のほうにひびきます」

 つぎに、そこを押してみた。

「押されても痛くはありません」

 背中の痛みは、筋肉痛が最も多く、ついで脊椎の老化によって起こる変形性脊椎症が原因で起こることが多い。ただ、それらの場合は背骨の両脇を押すと、必ず痛む場所がある。ところが、THさんの場合は、それがはっきりしない。そして、食事とは関係がないという。

 私は言った。

「THさん、おなかのCT写真を撮ってみましょう。膵臓や腎臓に病気があると、背中に痛みが出ることがありますから、それがあるかないかを見るのはCTが手っ取り早い」

 こうして、すぐにCT写真が撮られた。

※このブログが本になっています。「がんになって分かったこと」(副題「さまざまながんの素顔と元気な患者たち」 )という書名で、文芸社からの出版です。電子書籍化もされました。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック