手術はイヤ(THさんの場合)~病院での精密検査

 病院での診察の結果、検査のための入院が必要ということになった。入院後、腹部超音波、消化管内視鏡、造影CT、そしてMRIの検査が行われた。

 それらの検査結果を聞く日が来た。ご主人と一緒に来て欲しいということだった。

 主治医が話した。

「膵臓がんです。しかも十二指腸のまわりのリンパ節に転移があります。そして、肝臓にも転移らしいカゲがあります。この状態では、手術は無理です。抗がん剤の治療をやることにします。どうですか?」

 THさんは黙っていた。ご主人がたまらず答えた。

「先生、手術は絶対に無理なんですか?膵臓を取るだけでもできないんですか?」

 主治医は答えた。

「膵臓を取るだけということにはなりません。十二指腸のリンパ節が腫れていますから、これをきれいに取らなければいけません。そうすると、かなり大きな手術になりますから、手術によってかなり体力を消耗することになります。手術で、かえって命を縮めることになる可能性が高いです」

 それを聞いていたTHさんが言った。

「そうですか。それならば、抗がん剤の治療をお願いするわ。まだ、すぐには死にたくないですからね」

 THさんのご主人は、なにか言おうとしたようだったが、そのままなにも言わずに二人でその部屋を後にした。

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