胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~穿刺細胞診の結果

 私はSSさんに言った。

「さあ、終わりました。痛みはどうだったですか?検査の結果は、来週お話しますから来てください。針を刺したところは、絆創膏を貼っておきますから、あしたはがしてください。今夜はそこを濡らさないようにしてください。ですから、できればお風呂はあしたにしてください。もちろん、そこを濡らさないようにすれば入ってもかまいません」

 SSさんは、まだ不安げな表情を見せながら答えた。

「痛みは我慢できました。刺したところを濡らさないように気をつけます。来週来ます。先生、がんだとしても、私には本当のことを言ってくださいね。よろしくお願いします」

 当院では、すぐに検査室で診断のための準備にとりかかる。つまり、顕微鏡で見るための染色を行う。取った検体は、そのままでは顕微鏡で見ようとしてもよく見えない。色をつける必要がある。それが染色である。染色が終わると、私に連絡が来る。私は細胞診専門医の資格を持つので、染色の終わった検体を見てがん細胞かどうかの診断をする。

 後日、染色が終わったという連絡を受けて、SSさんの検体を顕微鏡でくわしく見た。すると、やはりがん細胞が取れていた。両方からである。どちらもまったく同じ顔つきのがん細胞だった。ということは、小さい方は大きい方からの転移だろうか?

*このブログが「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」(文芸社)という本になっています。読んでみてください。

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