胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~手術の結果

 手術して取った乳腺とその周囲のリンパ節の詳しい顕微鏡検査が病理組織検査である。この検査結果が最終的なもので、これによってがんの種類や広がり具合、リンパ節転移の有無、そして転移の状態が分かる。

 SSさんの乳がんは乳管がんで、早期がんではなかったが、乳腺組織内にそれほど深く入り込んではいなかった。しかし、乳管の中を延びて広がり、SSさんが最初に触れた2個のしこり以外に、さらに2個のしこりができていた。つまり、計4個のしこりができていたのである。

 乳管がんには、このように乳管の中をはうように広がっていくことが多く見られる。一見、なにもないように見える乳管の中にも、がんが広がっていることが多いのである。したがって、これをそのままにしてしまうと、そこから再発が起こる。

 乳房を全部切り取る場合には問題がないが、部分的に切り取る場合には、この取り残しが最も問題である。したがって、乳房の温存手術の場合には、たとえ残ったがん細胞があっても、それを死滅させるために、術後に放射線治療を追加するのである。

 さいわいなことにSSさんは乳房をすべて取りきる全摘術を受けた。そして、リンパ節転移もなかった。したがって、取り残しはありえないことになる。

 このように、高齢者では乳房の全摘術を行うことが多いが、全摘術ががんの根治的な治療法であることはいうまでもない。

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