胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~乳がんの顔つきと治療

 乳がんでは、病理組織診によって、それぞれの乳がん細胞の性質が診断される。それを、それぞれの乳がんの顔つきと表現していい。それを踏まえて、手術後の治療法が決められる。

 SSさんの乳がん細胞には、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロン両方が認められた。これは、それらの女性ホルモンがSSさんの乳がんの成長を抑えることができるという意味になる。これをホルモン感受性があるという。

 だから、この場合は、乳がんの再発予防に女性ホルモンを使えばいい。したがって、SSさんはホルモン剤を服用することになった。

 もうひとつ、乳がんではHER2(ハーツー)という遺伝子の有無を見る。これは上皮成長因子、つまりがんの成長因子のひとつである。SSさんの乳がん細胞は陰性だった。もし、これが陽性ならば、それを抑える薬を飲むことによって、再発を抑えられる可能性が高くなる。

 このように、乳がんでは病理組織診が治療法を決めるために重要な意味を持つ。それによってそれぞれの乳がん細胞の性質の違いが分かれば、それによって治療法を決められるのである。

 がん細胞の性質に合わせて治療法が決められるので、この治療をテーラーメード治療という。 

 SSさんは、退院が決まったときに主治医から言われた。

「これから、しばらくはホルモン剤を飲んでもらいます。それほど心配する副作用は出ないと思います」

 SSさんは、主治医のいう通りにホルモン剤を飲み始めた。とくに変わりはなかった。ただ、いつまで飲むのかという疑問は感じた。

*このブログが「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」(文芸社)という本になっています。ぜひお読みください。

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