胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~乳がん手術後の治療

 乳房の全摘術以外、つまり乳房温存手術を受けた場合は、通常、手術のあとに再発予防のために放射線治療を受けることになる。SSさんの場合のように、正常の乳管の中にがんが広がっていることが多いからである。

 乳房をすべて取りきってしまえば問題はないが、部分的に切除するだけであれば、乳管の中に取り残しがある可能性が高くなる。そのために、放射線治療が行われる。

 また、リンパ節転移があれば、乳がんがもっと全身に広がっている可能性があるので、放射線治療とともに、全身に効果のある抗がん剤の治療を行うことが必要になる。

 放射線治療は、放射線を照射する部位に効果が期待できるので、手術と同じ局所慮法という。手術は病巣のある場所を切り取るので、局所療法というのは理解されやすいと思う。

 放射線療法も同じである。放射線を照射された場所だけに効果が期待できるわけなので、手術と同じ局所治療である。

 ただしSSさんは、どちらの意味からでも放射線治療は必要がないと判断された。4つのしこりがあったのだが、それらは乳管の中を広がってできたもので転移ではなく、幸いなことにがんの進みぐあいはそれほどではなかった。だから、ホルモン剤を飲むだけでいいと考えられた。

 退院後の最初の外来受診時に、主治医は言った。

「これから、定期的に私の外来に来ていただいて、ホルモン剤を飲んでいただきますが、とくに変わりがなければ前から見ていただいていたかかりつけの先生に見ていただくだけでも構わないと思います。どうですか?」

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