胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~ご主人に起こったこと

 翌月の外来受信時、SSさんは不安そうに話し始めた。

「先生、主人がお風呂で倒れたんです。暑い日に、これから汗を流してくるって言って出かけたんです。私は、こんな暑い日にわざわざ外のお風呂に行かなくてもいいんじゃないのって言ったんですが、主人は私の言うことなんか絶対に聞きませんからね」

「それで、お風呂で倒れたんです。救急車で病院へ運ばれました。幸い命には別条はありませんでした。でも、左半身不随です。これから、リハビリの病院へ移らないといけないんです」

「私は、もう自分のことはどうでもいいという感じです。主人がこれからどうなるか、それだけが心配です。それにしても、私の病気は心配のない状態になっていて、本当によかったですよ。主人はこれからどうなるんでしょうか?」

 それを聞いて、私は答えた。

「ご主人は、前から血圧が高かったですからね。でも、左半身でよかったですよ。利き腕が大丈夫ですからね。リハビリの話が出ているということは、ご主人の状態が落ち着いているということですね」

「よかったじゃないですか。ただ、どこでリハビリを受けますか?入院中の病院から紹介されると思いますが、お子さん方の意見もあるでしょうしね?」

*このブログが「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」(文芸社)という本になっています。読んでみてください。

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