胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~二人のリハビリ

 SSさんは言った。

「そうですか。でも、リハビリで半身不随は治るんですか?」

 私は答えた。

「リハビリはマヒを治すんではなくて、それ以上悪くしないようにするためのものです。マヒは残ると考えないといけない。あなたのよくなった体で、不自由になったご主人を支えなくちゃならない。少し大変でしょうが、頑張るしかないです」

 SSさんは、不安げに言った。

「主人は太っていて、私には主人の体を支えられない気がします。どうすればいいのか、やはり迷いますね。子どもたちとよく話してみます」

 SSさんは自分のことではなく、ご主人のことばかりを話して帰った。

 翌月の受診を待たずに、SSさんから私に電話があった。娘の近くの病院に移ることにしたという。遠いので、これから自分もその病院で見てもらうことにする、と。先生に診てもらえなくなるのは残念だが仕方ない、とも。

 SSさん、早く手術しておいて、本当によかった。いくつものしこりがあったのに、それは転移ではなかったので、手術で全部取りきれたということです。ホルモン剤を飲むのは、そんなに大変なことではないでしょう。

 これから、娘さんといっしょに、ずっとご主人を診てあげてください。ご主人を診ることが、SSさんの乳がん手術後のリハビリになると思います。

 ~これで「胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)」は終わります~

*このブログが「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」(文芸社)という本になっています。読んでみてください。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック