どうして私が胃がんに?(UEさんの場合)~腸閉そく症状の出現

 治験薬による治療も効果がなかったと言われて間もなく、治療が終わったはずなのに、UEさんを突然強い吐き気が襲った。だから、抗がん剤の副作用によって起こった吐き気ではないと思った。

 これは、がん性腹膜炎が進んだために起こったものである。そのために腸の働きがストップしてしまった。それで食べたものが腸の中を進んでいくことができなくなり、胃の中が食べ物でいっぱいになって吐いたのである。同時に、おなかの痛みが強くなった。

 主治医は、今UEさんにとって必要なことについて言った。

「UEさん、残念ながらあなたの胃がんに対する治療は尽きてしまいました。これからは、現在起こっている症状を抑える治療を続けることにします」

「食べたものがうまく胃と腸を通って行きませんから、胃に食べたものが貯まったままにならないように管を通すことにします。そうすれば吐くことはありません。鼻から管を入れます。それから、点滴を続けることにして、痛み止めも増やすことにします」

 UEさんは受け入れた。そして、もう胃がんを治す治療がないならば家に帰ろうと思った。

「先生、そうして下さい。それで具合が良ければ、家に帰れますか?」

 主治医はうなずいた。

*このブログが「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」(文芸社)という本になっています。読んでみてください。

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