肝転移のある直腸がん(CBさんの場合)~抗がん剤治療の始まり

 最初の治療は入院のまま続けられることになった。治療の開始時にはなにごとも起こらなかった。少し食欲が落ちたかなという程度だった。CBさんは入院以来付き添っている奥さんに言った。

「こんなものなら大丈夫だ。がんが消えるまで、何度でも点滴をしてもらおう」

 奥さんは言った。

「本当に大丈夫なの?ここしばらく食べられない日が続いたから、だいぶやせたわよ」

 CBさんは答えて言った。

「なんとかなるよ。少しづつ食べられるようになったしな。抗がん剤の点滴は思ったほどつらくはない」

 このあと、白血球が少し減ってきた。しかし、CBさんにとってなにも具合の悪い症状があるわけではない。退屈な入院生活だった。しばらくして、白血球減少や肝機能障害が心配っするほどではないことを確認して、2回目の抗がん剤点滴が行われることになった。

 そしてその前に、家でも点滴を続けるため、特殊な点滴用の道具を使うことになった。CVポートと呼ばれるものである。これは手術によって皮下に埋め込む必要がある。

 それには管がついていて、その管を血管に刺し、中心静脈(CV)という心臓に近い太い静脈の中まで押し込んで留置する。そうすれば、いつでもポートに点摘や採血用の針を刺して、通常の静脈注射や採血をするのと同じことができるようになる。

 そして、CBさんの奥さんに家での点滴の続け方と点滴の注射針の抜き方について説明と実技の指導が行われた。

 退院を迎え主治医はCBさんに言った。

「一応の退院です。治療はこれからが本番です。点滴の回数が増えると、副作用もだんだんひどくなる可能性があります。なにかあったら、いつでも連絡してください。なにもなければ2週間後に外来にきてください」

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