肝転移のある直腸がん(CBさんの場合)~家族会議

 CBさんの奥さんは、子どもや妹の顔を見ながら言った。

「私は、手術には反対。腸の方はいいとしても、肝臓については転移なわけだから、からだのほかのところにも転移が起こっている可能性があると思うの。そしたら、肝臓だけ手術したって、意味がないと思うの。どう?」

 奥さんの妹さんが言った。

「そうよね。先生はなんとかなるとか言うけど、本当のところは分からないわよね。だから、肝臓については実際に手術してみないと分からないなんて言ってるんだと思うわ。やっぱり危険だと思う。命をかけるような危険を冒すべきじゃないわよ」

 息子さんも言った。

「そうだな。オレもそう思うな。先生は手術をしたいから、いいことばかり並べて言ってるような気がする」

 奥さんが改めて言った。

「そうだわよね。あなたのからだは実験材料よ。やってみなきゃわからないなんて、モルモットだわ。命にかかわる危険を冒すようなことはしないほうがいいと思うわ。せっかく、元気になってきたんだからね」

 CBさんは言った。

「モルモットだってかまわないよ。手術ができて、それでがんが治るんなら手術を受ける。自分が実験材料なら、その結果がつぎの患者のためになるんじゃないか。それはいいことだ」

「とにかくいまの飲み薬は手足がしびれて痛いし、もう抗がん剤治療は止めるしおどきだよ。オレは手術ですっきりしたいよ。みながなんと言おうと、オレは手術を受けるよ」

 CBさんのひと言に、みなあきれたが、返す言葉はなかった。

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