自分はどうなってもいい~初めての往診

 STさんの父親はすぐに役所に電話して、往診をしてくれる医療機関がどこにあるかをたずねた。役所では、市立の診療所である当院を紹介した。

 STさんの父親が診察室に来て言った。

「先生、往診をお願いします。引きこもりの息子なんです。その息子のほっぺたに大きなしこりができていて、背中を無性に痛がるんです」

「先日、あまりに痛がるんで救急車を呼びましたが、息子は病院へは行かないといって救急車を帰してしまいました」

 私が言った。

「分かりました。とにかくお伺いして、どんな状態かを見てみましょう。そして、どうすればいいかを考えましょう」

 父親が言った。

「でも、もしかすると先生がお見えになっても、息子はやはり診察は受けないと言うかもしれません。それでもいいでしょうか?」

 私は答えた。

「それでも構いません。とにかく一度お伺いして、息子さんと直接話してみます」

 翌日の訪問の枠に空きがあったので、翌日伺うことにした。

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