自分はどうなってもいい~入院後のあらまし

 私のところへ病院の担当医からすぐに連絡が入った。

「左の顔面の悪性腫瘍が頸部のリンパ節と胸椎に転移したものと考えるので、切除した腫瘍の検査をしたい。切除した腫瘍の一部を提供してはもらえないか」

 この要請を受けて、ホルマリン漬けにしてあった腫瘍の一部を切り取り、病院宛に送った。

 その後の全身検査の結果、STさんの顔面腫瘍は肺にも転移を起こしていることが分かった。担当医は両親に言った。

「悪性黒色腫(メラノーマ)という診断でした。この腫瘍は非常にたちの悪い腫瘍です。一度、抗がん剤を使って治療をしてみませんか?」

「治療をしても効果がないかもしれませんが、やってみないとわかりません。もし効けば、症状を楽にできるかもしれません」

 両親は治療を任せることにした。

 すぐに抗がん剤の点滴治療が始められたが、抗がん剤の投与量が十分になる前に、腫瘍は急速に増大した。

 結局、肺の転移が増大するとともに胸水が増加して、入院1か月と少しでSTさんはそのまま病院で最期を迎えた。

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