サルビアの会7月患者会(その3)

 KHさんは、初めて父親のがんについて話してくれました。

「でも、時間とともに父の具合は悪くなっていきました。それでも父は、痛いとは一言も言いませんでした。ロキソニンというよく使われる解熱鎮痛剤を飲むだけでした」

「ペンタゾシンという強い痛みどめを使ったことがありましたが、父はそれを使うと頭がボーッとしてしまうと言って、使いたくないということになったんです」

「多少痛みがあっても、頭がはっきりしていたほうがいい。頭がボーっとなってしまってはどうしようもないということだったんです」

「訪問看護にもお世話になって、そのままずっと家で仕事をしていました。でも、本当に父は痛みを我慢していたと思います」

「ある時、歯が折れたんです。それを聞いて、私は父が歯を食いしばって痛みを我慢していたと理解しました。そして最後の2週間だけ、近くの病院へ入院させてもらいました」

「その入院の直前に、家で介護を受けながらお風呂に入れてもらった時の父の笑顔が忘れられません」

「でも入院してから、父はすべてを受け入れていた様子で、痛み止めもモルヒネのような強いものを使っていたようです」

「もう、父の意識はもうろうとしてはっきりした受け答えはできない状態でした。その時、これは本当に最期だなって思いました」

 私が言いました。

「そうでしたか。ずいぶんしっかりした強いお父さんだったんですね?」

 KHさんが続けて言います。

「そうなんです。抗がん剤の治療をやめて大分元気になりましたが、だんだん体力がなくなって行くのが分かりました」

「でも最期の入院の直前まで、『ことしの目標やっと達成だ』と言って仕事を続けていたんです」

「父は教師をしていましたが、定年後ずっと家にいていろんなことをやっていました。本当に強い父親だったと思います」

 私の「がんの治療をやめる時」の本の中身そのものと言っていいKHさんの話でした。

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    Excerpt: 毎月第3土曜日は 茨城県古河市のがん患者の会に参加。 「がんなんかに負けてたまるか」~がん患者会の人たち Weblog: 開業保健師  みんなの“自分らしさ”を大切に racked: 2015-07-25 16:50