サルビアの会10月家族会(その2)

 家に入ると、実はその患者さんはすでに亡くなっていました。喀血をしたそうです。そして、そのまま息が途絶えたと言います。

 再発していた肺がんが胸の中の太い血管を壊し、気管支と通じてしまったのだと思いました。私は、すぐに謝りました。

「こうなる可能性は分かっていたので、私がもう少し早く、もう一度放射線治療をやるように勧めていれば、今こんなことにならずに済んだと思う」と。

 すると、家族の方々は口をそろえて言うのです。

「違うんです。本人はこれが本望だったんです。『先生から再入院の話が出るかもしれないが、オレはもう入院はしない。

 今まで、7年間も生き延びさせてもらったんだから、オレはもう何があっても構わない。死ぬなら、この家の畳の上で死ぬ』って言ってたんです」。

 私は、愕然としました。大学病院に来ている患者さんは、どんなに難しい状態になっても最期まで大学病院で治療を受けて、それを治してもらおうとするのが当たり前と思っていました。

 それに応えるのが当然と思って治療をしてきましたが、そうではない患者さんがいたんです。私は、この人の選択は正しいと思い知らされました。

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  • サルビアの会(10月家族会)に参加

    Excerpt: 昨日(10月3日)は 古河市のがん患者会(家族会)に参加してきました。 Weblog: 開業保健師  みんなの“自分らしさ”を大切に racked: 2015-10-08 11:25