サルビアの会9月患者会(その8)

 最後は家族を代表してKZさんが話しました。

「私は主人を前立腺がんで2年前に亡くしました」

「前立腺がんが見つかる5~6年前から、腰が痛いと言い出し、整形外科をあちこちまわっていたんです」

「ドクターショッピングですが、つらかったのでどうしようもなかったんです」

「でも、どこも脊柱管狭窄とか椎間板ヘルニアと言うだけで、痛み止めの薬を出すだけでした」

「一向によくなりませんでしたので、ある時、先生がもしかすると内科から来ている痛みかも知れないと言ったんです」

「でも、内科と言われても、どこの内科に行けばいいんだろうなどと悩んでいました」

「でも、その時主人が夜中の頻尿を訴えたので、泌尿器科へ行くことにしたんです」

「そして、そこで前立腺がんが見つかりました。でも、リンパ節と腰椎に転移があることが分かりました」

「その時、骨の転移は5~6年前からあっただろうと言われました」

「それを聞いて唖然としました。腰痛が出た時期と同じだったからです」

「それを整形外科ではまったく分かりませんでした」

「しかも、同時に前立腺がん検診も受けていました。そして、その結果は毎年異常なしだったんです」

「こういうことだったので、私たち夫婦は情けなくてどうしようもない気持ちになりました」

「すぐにホルモン剤の治療が始まりました。それに骨の転移には放射線治療をしました」

「さらに痛みを緩和する治療をしました」

「しかし、その頃から突然の不整脈が起こるようになったんです」

「命に関わる不整脈と言われたので、私たち夫婦はそれがいつ起こるのかといつもビクビクしていました」

「それから、しばらくすると腸閉塞を起こすようになってしまいました。これは放射線治療のせいだとのことでした」

「不整脈を起こしては入院、腸閉塞を起こしては入院と、入退院をくりかえしました」

「だいたい入院のたびに絶食になったので、30キロ近く体重が減ってしまい体力がなくなってしまいました」

「でも、主人は最後まで自分の脚で歩くんだと頑張っていたんです」

「もう治療法がないと言われたのが亡くなる2か月前でした」

「そのことは主人には伝えず、リハビリを頑張るようにしていました」

「最期は緩和ケア病棟で迎えましたが、そこに入る時もリハビリができるということで入ったんです」

「ちょうど2年前、その緩和ケア病棟で主人は安らかに最期を迎えました」

「去年は気持ちが沈んだままでしたので、このフォーラムにも参加できませんでした」

「今年はだいぶ気持ちが楽になりました。それも、サルビアの会のおかげだと思います」

「サルビアの会には毎回参加してみなさんの話を聞かせてもらいました」

「そして、同じような人がいることを知り、また私の話を聞いてもらい、気持ちを楽にしてもらいました」

「ありがとうございました」

 途中で、何度か声を詰まらせながら、KZさんは原稿を読み終えました。

 私が、前立腺がん検診の結果や緩和ケア病棟での様子などの質問をしました。

 KZさんが答えます。

「前立腺がん検診の結果、本当にはいつも異常なしだったんです」

「骨の転移が見つかった年の結果もPSAの数値が2.5でした」

「でも、ずっと前のPSAは1以下だったので、かなり上がっていたと言えば上がっていたと言えます」

「でも、ずっと異常なしだったんです」

 私が言いました。

「前立腺がん検診では、PSAが4以上にならないと異常があるということにはなりません」

「異常だとする基準値をどうするかは最も問題なところです」

「KZさんのご主人は、その基準値以内だったので異常なしとされてしまったわけです。検診では一番難しい点です」

 KZさんが続けます。

「主人は最期の最期まで、トイレは自分で行くと言って頑張っていました」

「たった一度だけ、緩和ケア病棟のベッドでお漏らしをしてしまったことがあっただけでした」

「家に帰りたいと、ふと漏らしたことがありました。でも、はっきりとは言いませんでした」

「でも、一度外出で家に戻ったことがあったんです」

「その時主人は、タバコを吸いながらもう二度とここでタバコが吸えるとは思ってなかったなんて言ってました」

「もう最期が近いってことが分かってたんでしょうね」

「でも私は、不整脈と腸閉塞が心配で、主人を家に連れ戻すことは考えられませんでした」

 話すまで待つのがつらいと言っていたKZさんでした。

 なので、一番最後の発表になってしまい申し訳ありませんでした。

 やはり時々はご主人の顔を思い出して声をつまらせながらの発表でしたが、問題なくやり通せました。

 ご苦労様でした。


 今年の参加者は49人でした。去年より少なくなりました。宣伝が足りなかったでしょうか。

 また、来年も頑張りましょう。でもとにかく、みなさんお疲れさまでした。

(9月患者会おわり)

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