サルビアの会10月患者会(その1)

 子宮がん再発を乗り越えたMYさんのご主人が先月突然亡くなりました。

 そのMYさんが言います。

「前の日、夕食をOMさんが持って来てくれたんです」

「それをいただいて、それからアイスクリームをおいしそうに食べて、いつものように寝ました」

「それが翌朝、亡くなったんです」

「ちょっといつもより起きてくるのが遅いなって思いました」

「それで見に行くと、もう固くなっていました」

「救急車を呼びましたが、救急隊の人たちももう固くなってるから心臓マッサージはやらないって言いました」

「それで、そのまま病院へ運んでもらったんです」

「心不全という診断でした。胸の中に水がたまっていたそうです」

「そういえば、1か月前くらいから少し体を動かすと息が切れると言ってました」

「あした四十九日ですが、まだ死んだという実感がありません」

「脱ぎ捨てていた私の服がハンガーにかかっているのを見て、『あっ、父ちゃんがかけてくれたんだな』なんてつぶやいちゃうんです」

「それを聞いていた息子が、『それはおれがやっといたんだよ』って」

「主人は、そんな風に私の気持ちの中に生きているんです。死んだことが実感できません」

「少し前にずいぶんお世話になっていた近くの歯医者さんが亡くなったんですが、そのほうが亡くなったことを実感しています」

「そういうものですかね」

 私が言いました。

「そういうものでしょう。ずっといっしょにいた家族だから、そうなるんだと思います」

「少しの時間、家にいないことなどはなんどあったかわからないと思います」

「だから、亡くなったとしても、いないのはどこかに行っているような気持にしかならないんだと思います」

 MYさんが言います。

「そうなんでしょうね。実感するのには時間がかかる」

「あすの四十九日が終わると、気持ちが違ってくるかもしれません」

「お墓は永代供養にすることにしました」

「これからのことを考えると、長野にある墓には埋葬することにしないと家族で話して決めたんです」

 MYさんのご主人は75歳で、直前までふつうに仕事をしていたと言います。

 だから、みんなには「うらやましい死に方だ」と言われたそうです。

 でも、もう少し生きていてほしかったというのが本当の気持ちでしょうね。

 MYさんも「あと5年、生きていてもらいたかった」と言ってました。

(つづく)

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