テーマ:乳がん

胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~二人のリハビリ

 SSさんは言った。 「そうですか。でも、リハビリで半身不随は治るんですか?」  私は答えた。 「リハビリはマヒを治すんではなくて、それ以上悪くしないようにするためのものです。マヒは残ると考えないといけない。あなたのよくなった体で、不自由になったご主人を支えなくちゃならない。少し大変でしょうが、頑張るしかないです」 …
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~ご主人に起こったこと

 翌月の外来受信時、SSさんは不安そうに話し始めた。 「先生、主人がお風呂で倒れたんです。暑い日に、これから汗を流してくるって言って出かけたんです。私は、こんな暑い日にわざわざ外のお風呂に行かなくてもいいんじゃないのって言ったんですが、主人は私の言うことなんか絶対に聞きませんからね」 「それで、お風呂で倒れたんです。救急車で…
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~乳がん手術後の治療

 乳房の全摘術以外、つまり乳房温存手術を受けた場合は、通常、手術のあとに再発予防のために放射線治療を受けることになる。SSさんの場合のように、正常の乳管の中にがんが広がっていることが多いからである。  乳房をすべて取りきってしまえば問題はないが、部分的に切除するだけであれば、乳管の中に取り残しがある可能性が高くなる。そのために、放…
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~乳がんの顔つきと治療

 乳がんでは、病理組織診によって、それぞれの乳がん細胞の性質が診断される。それを、それぞれの乳がんの顔つきと表現していい。それを踏まえて、手術後の治療法が決められる。  SSさんの乳がん細胞には、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロン両方が認められた。これは、それらの女性ホルモンがSSさんの乳がんの成長を抑えることができるとい…
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~手術の結果

 手術して取った乳腺とその周囲のリンパ節の詳しい顕微鏡検査が病理組織検査である。この検査結果が最終的なもので、これによってがんの種類や広がり具合、リンパ節転移の有無、そして転移の状態が分かる。  SSさんの乳がんは乳管がんで、早期がんではなかったが、乳腺組織内にそれほど深く入り込んではいなかった。しかし、乳管の中を延びて広がり、S…
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~SSさんの乳がん手術

 乳がんの場合も、他のがんと同様にリンパ節に転移がなければ、手術が第一の選択となる。それですべてのがん組織を取り除くことができれば、完全に治せることになるからである。  もし、明らかなリンパ節転移があったり、がんが大きくて手術で取りきれない可能性がある場合は、最初に抗がん剤の治療を行って、がんが小さくなったあとに手術を行う。 …
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~早期の乳がん

 すべてのがんに共通することだが、がんは粘膜の表面の細胞から生まれる。粘膜は皮膚と同様に体内の組織を外界の刺激などから守る役割を持つ。それらをまとめて上皮という。粘膜も皮膚も上皮という体組織の一部である。  上皮の中には血管やリンパ管は存在しない。ということは、体内にあるかのように思える粘膜は本当の意味の体内の成分ではない。体内に…
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~乳がんの広がり方

 SSさんのCT写真をもう一度くわしく見直した。ふたつのしこり以外には、乳腺の中にも、周囲のリンパ節にも、転移を思わせる腫瘤のようなものは見当たらなかった。  ということは、小さなほうが転移である可能性は否定できないが、大きなほうから乳管の中を通って伸びて行ったがんが少し離れたところに別のしこりをつくったという可能性が大きい。つま…
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~穿刺細胞診の結果

 私はSSさんに言った。 「さあ、終わりました。痛みはどうだったですか?検査の結果は、来週お話しますから来てください。針を刺したところは、絆創膏を貼っておきますから、あしたはがしてください。今夜はそこを濡らさないようにしてください。ですから、できればお風呂はあしたにしてください。もちろん、そこを濡らさないようにすれば入ってもかまい…
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~乳腺の穿刺細胞診

 注射針をしこりに当てて、そこからしこりの中身を吸い出し、それを顕微鏡で検査してがん細胞があるかどうかを調べるのが、穿刺吸引細胞診である。比較的簡単にできるがんの診断法である。  これに対して、穿刺生検という検査法があるが、これは、生検針という特殊な太い針を使って、しこりの一部を切り取る方法である。組織を取るので、病理組織診断、つ…
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~乳房の診察

 私は、SSさんの両方の乳房の触診をした。  左にはとくにしこりのようなものは触れないが、たしかに右には乳房の内側に1個、そしてそこから少し離れた乳首寄りのところに、小さめのしこりをもう1個触れた。どちらもしっかりと触れる固さだ。私は、乳がんだと確信した。  そして、私はSSさんに言った。 「SSさん、乳がんの可能性が…
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胸にふたつのしこりが(SSさんの場合)~初めてしこりに気づく

 やや太り気味のSSさん(72歳)は、いままで病気という病気をしたことがなかった。ただ、血圧が高いので降圧剤を朝に一粒のんでいるだけだ。  また、ご主人も心臓が悪く、定期的に検査を受けながら薬をのんでいる。だから、いつもふたりいっしょに私のところへ診察を受けに来る。SSさんが、ご主人の見守り役だ。このところ、ご主人の具合はいい。 …
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サルビアの会6月患者会(その1)

 今回は、アメリカの女優が自分の遺伝子検査をして乳がんで亡くなった母親と同じ遺伝子を持つことが分かり、予防的に両方の乳腺を切除再建したことをどう思うかと私がみなさんに質問して始まりました。  「なにも急ぐことはないのでは?」、「お金があれば自分もやる」、「手術まではしない」などという意見でした。  そこで、情報を追加しました…
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治療させてもらえなかった乳がん(SIさんの場合)~これからが本当の治療

 SIさんは、まだおぼろげにしか自分の死を考えたことはない。主治医からも、「まだ死ぬことはない」と言われている。  どうしようもなく赤く腫れあがった乳房が、ホルモン剤でほとんど元にもどった。乳房の下の皮膚に赤みが残り、そこに痛みをときどき感じる程度だ。それはこれから行われる放射線治療に期待してみようと思う。  夫は、その後自…
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治療させてもらえなかった乳がん(SIさんの場合)~乳がんこそセカンドオピニオンを!

 いろいろあるがんの中で、乳がんは比較的ゆっくり進むものが多いがんである。しかも、乳がん細胞には特性があり、特性に応じた治療法の選択ができる。  したがって、乳がんは、発見されてもあわてる必要はまったくない。まず、自分のがん細胞の特性を見ることが第一である。つぎが、転移があるかどうか。そして、あるとすればどこにどれだけあるかを見る…
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(がん関連情報)~乳がんの放射線治療

 乳がんは皮膚のすぐ下に存在するので、放射線のエネルギーが届きやすく、放射線治療は効果がある。乳房温存手術後も、もしかして取り残しのがんがあるかも知れないと考え、放射線治療を追加することが多い。  乳がんのリンパ節転移も、放射線治療が有効である。もちろん、胸部の深いところまで転移が広がってしまうと、治療効果は減退する。しかし、リン…
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治療させてもらえなかった乳がん(SIさんの場合)~センチネルリンパ節生検とSIさんの手術

 このリンパ節転移の有無を調べる方法をセンチネルリンパ節生検法という。  センチネルとは、見張り番のことである。難しい言葉で、前哨や歩哨といわれる。大もとの病巣から出たがん細胞がリンパ管の中に入って進み、しだいにリンパ節に転移巣を形成する。そのリンパ節転移の、最先端の部分をセンチネルリンパ節転移という。  これを調べるには、…
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(がん関連情報)~乳がんの外科治療

 しかし、やはり手術できるならば、乳がんも手術で病巣を切除するのが根治への第一歩である。  乳がんの手術といえば、以前はすべての乳房にとどまらず、その下にある胸部の筋肉(胸筋)もほとんど切り取ったので、皮膚の下に肋骨の形が見えるようになり、まるで洗濯板のようになった。これを手術の後に目の当たりにすることになった女性たちは、あまりの…
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治療させてもらえなかった乳がん(SIさんの場合)~乳がん治療と痛みの消失

 SIさんの治療は、飲み薬によるホルモン療法を中心に進められた。  腫瘍はかなり大きくなっていたため、点滴による通常の抗がん剤治療も加えられたが、SIさんのからだに合わなかったと見え、全身が真っ赤になるほどの強い皮膚炎の副作用が出たため中止された。  したがって、SIさんはホルモン療法のみを続けることになった。SIさんのがん…
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(がん関連情報)~乳がんの薬物治療

 ホルモン感受性のある乳がんは、乳がん全体の60~70%といわれる。これらの乳がんにはホルモン療法が有効だ。女性ホルモンの働きを抑える薬剤を使う治療である。通常の薬剤は、抗エストロゲン剤である。  しかし、エストロゲンなどの女性ホルモンは、閉経前と後でつくられるプロセスが異なるため、治療薬も違ってくる。  閉経前は、卵巣で女…
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(がん関連情報)~乳がんの自覚症状

 乳がんは、からだの表面近くにできるため、しこりを触れることが発見の動機となることが多い。したがって、乳がんの最初の自覚症状は乳房のしこりである。もちろん、しこりをつくる前の状態の乳がんは、なにも自覚症状がない。  乳がんは乳管にできるがんが多いので、乳汁を分泌する乳腺の力が残っているような状態では、乳管ががんで完全にふさがれる直…
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治療させてもらえなかった乳がん(SIさんの場合)~痛みのための緊急入院

 SIさんには針を刺して検査をした後に痛み止めを処方したが、その夜、SIさんは痛みのためどうしても眠れず、がまんができなくなって、私が紹介すると言った病院に自分で救急車を呼んで緊急受診し、結局、そのまま入院した。  家で食事をつくってもらえなくなることになった夫も、「勝手にしろ」と言い捨て、翌朝、家を出て行った。  すぐに、…
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(がん関連情報)~乳がんのオーダーメード治療

 乳がんは、女性ホルモンが発がんに関係するがんである。そして、現在、乳がん細胞を詳しく調べることによって、女性ホルモンが増殖に関係することを正確に診断できるようになった。  女性ホルモンが増殖を促す乳がんを、ホルモン感受性乳がんという。そういう乳がん細胞は、女性ホルモンを受け入れる窓口を細胞の表面に持っている。受け入れの窓口を受容…
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(がん関連情報)~乳がんの種類

 乳がんには、乳汁を分泌する部分からできるがんと、その分泌された乳汁が乳首まで行く通り道にできるがんの2種類がある。  これは、肺がんに、肺そのものにできるがんと空気の通り道の気管支にできるがんの2種類があるのと同じである。前者の乳汁を分泌する部分の乳がんを小葉がんといい、後者の乳汁の通り道の乳がんを乳管がんという。そして、乳がん…
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治療させてもらえなかった乳がん(SIさんの場合)~腫れあがり痛む乳房

 それから2年が経った。しこりはしだいに大きくなっていたものの、痛むようなことはなかった。しかし、最近、乳房そのものが赤く腫れあがるとともに、しこりの部分を中心に乳房全体に痛みが出て来た。  そして、その痛みはとうとうじっとしていても我慢できないほどになってきた。痛みのために眠ることもできなくなってきたのである。こうして、SIさん…
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治療させてもらえなかった乳がん(SIさんの場合)~信じられない夫の言葉

 その夜、SIさんは仕事から帰ってきた夫に言った。 「私、乳がんだって。これから詳しく検査して確かめてから、治療することになるだろうって」  夫は、しばらく黙っていたが、声高に言い切った。 「乳がん?それで、お前は具合が悪いのか?金を稼ぐ俺にメシを食わすのがお前の仕事だ。それができなくなるようだったら治療を受けても構わないが、…
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(がん関連情報)~乳がん検診と乳房の穿刺診

 乳がん検診では、主にマンモグラフィ検査が行われる。また、超音波検査が併用されるところもある。マンモグラフィとは、乳房のX線写真撮影のことである。  これらの検査は、年齢によって使い分けられる。年齢が若く、正常な乳腺組織がしっかり残っていて、その密度が高い状態では、マンモグラフィで見ると、正常な乳腺とがんとの違いが分かりにくい。若…
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治療させてもらえなかった乳がん(SIさんの場合)~大きくなる乳房のしこり

 55歳になったばかりのSIさんは、右側の乳房のしこりに気づいた。小さいが固いしこりだった。 「これが乳がんなのか」と考えたが、こんなことで騒ぎ立てると夫がまた怒りだすだろうと思い、そのままにした。夫は、なにごとも自分を中心にしてしか考えられない性格の人間だった。  その後、ときどきしこりを触ってみたが、あまり変わりはないよ…
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