(がん関連情報)~腫瘍マーカーとは

 腫瘍マーカーとは何か?それは血液中のがん細胞に由来する物質のことである。だから、血液検査で分かる。すべてのがんで分かるわけではないが、これが血液の中に認められれば、それだけがんが広がっていると考えられる。

 しかし、腫瘍マーカーががん細胞由来の物質とは言っても、じつはがん細胞だけにあるものとは限らない。正常な細胞も少しは持っているものが多い。ただ、がん細胞が多く持っている物質なので、がん細胞が死ぬと細胞が壊れ、その中にあった物質が血液中に溶け出す。

 死ぬがん細胞数は、がんが大きくなるほど多くなる。つまり、がんが大きくなるほど腫瘍マーカーは増えることになる。また、がん細胞が血液の流れなどに乗って増える状態、つまり血液などの流れに乗ってがんが転移している状態では、なおさら腫瘍マーカーは増える。

 つまり、腫瘍マーカーの増えることは転移の起こっていることも示唆する。まとめると、血液中の腫瘍マーカーが高いということは、がんが進行しているか、さらには転移が起こっている可能性が高いことを示している。だから、もしすでに転移がある場合には、それが見えないところでさらに増えているかどうかの指標にもなるわけである。

 ただし、前立腺がんのマーカーであるPSAは特殊である。というよりも、前立腺がんが特殊ながんなのである。大部分の前立腺がんは、かなりゆっくり進むがんである。したがって、血液中にそのマーカーであるPSAが増えてきても、それで手遅れの状態になっているとは限らない。

 むしろ、多くの前立腺がんが、PSAが高くなってから発見されても、まだ治る可能性が高い。したがって、通常のがんではありえないことだが、前立腺がんでは、その腫瘍マーカーであるPSAを血液検査で調べる検診が行われている。

 ただし、日本では、まだ国はPSA検査を前立腺がんの検診として妥当なものと認めていない。これは、まだ検診の効果が十分あるという研究結果が出ていないと国が考えているからである。

 むしろ、検診によって治療の必要のない前立腺がんが発見されてしまうことになり、患者にいらぬ不安を与え精神的な負担が増えるばかりではなく、副作用もある前立腺がんの治療が増えることになり患者の肉体的負担も経済的負担も増える。さらには、医療費自体もその分増えることになる。

 いずれにしても、前立腺がんでは、腫瘍マーカーが増えていても、それが必ずしも命にかかわる手遅れのサインではない。

 腫瘍マーカーといわれる物質は、がん細胞だけでなく、正常細胞にも少しだが含まれているものが多いことは前述した。ということは、正常細胞が壊れる状態でも増える。たとえば炎症の場合である。さらに前立腺では、年齢とともに増える良性の病気である前立腺肥大症でもPSAが増えてくる。

 このように腫瘍マーカーの上昇には、微妙な判断を必要とすることがあるが、がんの場合は、通常、腫瘍マーカーが減ることはない。つまり、がんの場合は少しずつであっても増え続けることが多い。

 反対に、炎症などの良性の病気では、腫瘍マーカーの増え方は一時的なことが多く、炎症が軽快すると同時に減少する。ただし、がんに炎症が重なって起こってくると問題は複雑になる。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

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