がん友(MYさんの場合)~思わぬところへの転移再発

 信じられない気持ちで退院した後、病気になる前とまったく同じ生活にもどっていたMYさんは、8か月が経ったころ、左の腋の下にしこりができているのに気づいた。それが、しだいに大きくなっている。

 手術を受けた大学病院の産婦人科での定期診察の日に、主治医に聞いた。
「先生、左の腋の下にしこりができたんです。だんだん大きくなっているようです。なんでしょうか?」

「あまりこういうのを見たことはないけど、今までのことを考えれば、子宮がんからの転移だろうな。針を刺して、がん細胞がいるかどうか確かめるよ」
 主治医は、しこりに注射針を刺して中身を吸い出し、顕微鏡でその中にがん細胞がいるかどうかを見る細胞診検査を行った。

 結果は、やはり子宮がんの転移だった。腋の下のリンパ節に転移したのだった。
「抗がん剤治療をやってから手術で取るのがいいだろう」
と主治医は言った。

 抗がん剤と聞いたMYさんの気持ちの中には、すぐさま抗がん剤治療に対する恐怖の思いがよみがえってきた。
「先生、私はこのまま何もしないで行きます」

 それを聞いた主治医は付け加えた。
「このままじゃ、あと1年の命だよ。何か治療をしたほうがいいと思うよ」

 しかし、MYさんの気持ちは固かった。
「いいです。このままで。たとえ1年で死んでもかまいません」

「そうか。じゃあ、また月に一度私の外来に来て、様子を見て行くことにするよ」
 こうして、MYさんは月1回の大学病院への通院が続くことになった。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

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