がん友(MYさんの場合)~がんの痛みとオピオイド(モルヒネ製剤)

 主治医はすぐに言った。
「もう限界だよ。治療しなけりゃ、ますますひどくなる。とにかく入院しよう」
 MYさんは、この主治医の言葉を、今回は否定できなかった。

 入院すると、痛みを取るためにすぐにモルヒネ製剤(オピオイド剤と総称される)が必要と言われた。
「MYさん、がんの痛みにはモルヒネを使うのが一番だよ。どうかね?」

 MYさんは、モルヒネすなわち麻薬が直ちに廃人につながると考えていたので、この提案の受け入れはためらった。
「先生、麻薬を使う以外に方法はないですか?」

 主治医はすかさず答えた。
「もちろん、放射線治療をやるよ。痛みには、それが一番効く」
 主治医は続けた。
「でも、放射線治療はすぐに効果が出るわけじゃない。効果が出て痛みが取れるまでの間、痛いのを我慢する必要はないと思うよ」

「先生、モルヒネを使ったら、正常な状態でいられなくなるんじゃないですか?」
 MYさんは、麻薬中毒患者の姿を頭に思い描きながら聞いた。

 主治医は、笑いながら答えた。
「MYさん、それは麻薬への誤解だよ。痛い時に使う麻薬は依存症、つまり中毒を起こさないんだよ。むしろ、痛みが楽になって、普通の生活ができるようになる。何もこわがる必要はない。しかも、モルヒネは早く使うほど効果が出るよ」

「本当ですか?」

「もちろん本当だ」
 MYさんは、「がん友」の意見を聞くことにした。すると、何人かの人がすでにオピオイドを使っていることが分かった。

 そのうちの一人が言った。
「MYさん、大丈夫。私も痛みが楽になったわよ」

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック