がん友(MYさんの場合)~消えたがん

 この時点でCT写真を撮ると、放射線治療医がいった通り、MYさんの脇の下と頚部にあったしこりは完全に消えて、小さな固まりになっていた。

 しかし、この固まりが、神経や血管、そしてリンパ管を巻き込んでしまっている。つまり、がんが治って固まると同時に、神経や血管、そしてリンパ管をいっしょに固めてしまったのである。

 このため、痛みがなくなったのと引き換えに、以前と同様のむくみとマヒが残ることになった。

 放射線治療は、体表に近いところのがんほど効果がある。したがって、皮膚がんには最も効果がある。

 MYさんの脇の下のリンパ節も頚部のリンパ節も皮膚の直下にあったので、放射線治療はほぼ最大限の効果を発揮したといえる。

 体内深い場所の病巣ではどうか。放射線は、体内の病巣に届くまでに正常な組織を傷つけることになると同時に、病巣に届くまでに放射線の力が減弱するため、副作用の割に効果が少なくなる。

 それをカバーするために、治療には工夫が加えられる。同じ方向から放射線を照射すると副作用が増すため、方向を変えるのである。今では、病巣を中心にして、回転させるような形で照射する方法もある。

 通常の放射線治療では、そのような工夫が必要だが、陽子線や重粒子線治療では、そのような工夫の必要がない。初めから、そのまま照射しても体の内部で放射線のエネルギーを最大にできるよう、陽子線や重粒子線治療では調節が可能なのである。

 したがって、陽子線や重粒子線治療は副作用が少なく、最大の効果が期待できる夢の放射線治療である。しかし、この治療は、まだ保険が効かない。

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