がんとの長いつきあい(KGさんの場合)~初めての前立腺がん検診

 「血液検査で前立腺がんが見つかる」という。KGさんにとって初めての、新しく始まった前立腺がんの検診だった。それまで、年1回定期的に欠かさず受けて来た健康診断だが、その中に追加されることになった検査項目である。KGさんは、早速、申し込んだ。

 前立腺がん検診は、前立腺がんのマーカーであるPSAを血液検査で調べる。そのために特別な採血をする必要はない。いつもの健診で採決する血液をそのまま使って検査できる。だから、まったく余計なことは必要ない。費用が少しかかるだけである。

 したがって、この検診を取り入れる自治体が増えている。しかし、国は、この前立腺がん検診を自治体が行うのは時期尚早としている。なぜか。それは、このPSAを調べる検診で、まだ確実に前立腺がんで死ぬ人を減らせたという証拠がないと、国が考えているからだ。

 前立腺がんは、ゆっくり進むものが多い。だから、検診で見つからなくても助かる確率が高い。実際、前立腺がんがありながら、天寿を全うするひとも多いのである。

 今、世界の各地で、この検診に対する有効性を調べる研究が行われ、少しづつ結果が出始めている。つまり、研究は現在進行中なのだ。

 したがって、国はそれらの結果が出そろい、検診によって前立腺がんで死ぬ人が確実に減ったことが証明されれば、PSAを調べる検診を自治体が取り入れることを勧めることになるだろうが、まだその段階ではないと考えているのだ。

 一方、前立腺がんを治療する専門医の集まりである泌尿器科学会では、ヨーロッパなどでの研究結果から、すでに前立腺がん検診の有効性は証明済みとして、PSA検診を正式に進めるよう国に強く迫っている。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック