もう一度歩きたい(KKさんの場合)~脊椎転移に対する手術

 CTを見ると、病巣は脊椎骨をさらに壊し、脊髄を圧迫するまで広がっていた。

 主治医は言った。

「KKさん、病巣が脊髄にまで広がっています。このままだと下半身マヒが起こります。もう放射線治療はできませんし、抗がん剤でこれを抑えるのは無理ですから、手術をして脊髄の圧迫を解除してもらうしかないと思います」

 KKさんは、いまさら手術かと思ったが、主治医に答えた。

「先生、それしか方法がないなら仕方がないですよ。手術でもなんでもお願いします」

 KKさんは、なかば捨て鉢になっていた。

 手術は、脊髄を圧迫し始めている転移巣を切り取るのではなく、脊髄を取り囲んでいる椎弓という背骨の後ろの一部を切り取るものだった。これによって、椎弓と増大する転移巣の間にはさまれて脊髄が圧迫され損傷されることを防ぎ、マヒを起こさないようにする。

 がんを切り取ることはすでに不可能な状態だったので、やむなくこの方法がとられたのである。この治療法は、がん以外の疾患で脊髄が圧迫され、痛みやしびれなどの症状が出た時によく行われる。

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