もう一度歩きたい(KKさんの場合)~オピオイドによる鎮痛とマヒの進行

 オピオイド貼付剤を使い始めて、KKさんの痛みは楽になった。しかし、それでもときどき強く痛みを感じることがあった。そのため、痛みの強い時に臨時で飲む薬が渡された。これは、頓服で使用するモルヒネ剤である。

 貼り薬を使っている時、痛みが強くなったら飲む。痛みを救うという意味で、レスキュー剤と呼ばれる。飲み薬だけではなく、坐薬もある。KKさんにときどき起こる痛みも、飲み薬のレスキュー剤でなんとか落ち着いた。

 しかし、マヒは一向によくならなかったばかりか、悪くなる一方だった。右側にもマヒが及び、とうとう立つこともできなくなった。同時に、排尿の感覚がなくなってきた。これらは、がんが大きくなり脊髄を壊したことによる。

 しかたなく持続的に尿を出すための管を膀胱に留置することになった。KKさんには、しだいにあきらめの気持ちが強くなってきた。

「先生、もうやることはないんですよね?それならば、家に帰ろうと思います。それは無理ですか?」

 担当の緩和ケア医は答えた。

「大丈夫ですよ。往診を頼みます。そうすれば家にいても必要な治療は受けられます。入院をしていても家に帰っても、今できる治療は同じですからね」

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

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