手術はイヤ(THさんの場合)~サルビアの会(がん家族の会)で得られたこと

 THさんのご主人は、このサルビアの会に参加して、いままでだれにも話すことのできなかった心の底に沈んでいたことをやっと話すことができた。

 すると、まわりからつぎつぎと言葉をかけられた。

「男の人は、男同士で涙をさそうような話をすることなどはないと思いますから、いままで本当につらい時間を過ごしてこられたんじゃないですか?」

「そうよね。女は集まればいつでも話ができるし、涙を流してもへっちゃらだけど、男の人はそういうわけにはいかないでしょうね」

「でも、時間が解決してくれますよね?時間が経つと、だんだん頭の中も整理されるし、気持ちも落ち着いてくる。そうすると、やっと話もできるようになる」

 それを聞いて、THさんのご主人は言った。

「その通りですね。私も女房が死んだ直後は、まず、そのことを受け入れられなかった。だから、なにをどうしていいか考える余裕などはなくて、食べることと仕事だけを夢中で続けているという感じでした。やっと最近、女房の死を仕方ないと思えるようになってきました」

 さらに参加者は言う。

「そうですよね。本当に落ち着いたのは七回忌が過ぎてからだと自分は思うわ。七回忌って、本当にひと区切りになる気がする」

「最初は、家に帰るたびに死んだお父さんに声かけしてたけど、最近はまったくやらなくなった。申し訳ないと思いますね。でも、そうして気持ちが落ち着いてきたと実感するわ」

 七回忌。THさんのご主人にとって奥さんの七回忌まではまだ遠い先のことだが、時間が解決するという言葉はまったくその通りだと思った。

 少なくとも、心の底にわだかまっていた思いを口に出すことができたことだけで、THさんのご主人の気持ちは晴れた。

 サルビアの会(がん家族の会)は、このようにして新しい参加者を迎え入れかつ送り出して、続く。

*「手術はイヤ」はこれで終わりです。つぎの話をお待ちください。

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