どうして私が胃がんに?(UEさんの場合)~抗がん剤の副作用

 点滴治療の副作用と思われるものはほとんど何もなかった。しかし、飲み薬のTS-1は下痢がひどかった。吐き気は点滴の中に吐き気止めが入っているためなのか、ほとんど起こらなかった。

 しかし、下痢は突然襲ってくる。外出時には、仕方なくおむつをはいた。だから、自然に外出することが少なくなった。

 3週間の服薬治療のあと、1週間の休みの期間がある。この休みの期間は、副作用から解放される。だから、この1週間を待つために治療するようなものだった。この3週間が終われば、また安楽な1週間が来ると思って、3週間毎の治療を続けた。まさに治療とのたたかいだった。

 白血球や血小板という血液成分が大きく減ることはなかった。髪の毛も少し抜けただけだった。おなかの具合が問題なだけだった。あいかわらず食事は1回の量を減らし回数を多くして摂っていたが、外から見るとUEさんを病気と思う人はいなかった。

 ただ、ご主人は違った。UEさんのご主人は、潰瘍性大腸炎を患っていた。ちょうどUEさんのおなかの具合と同じような症状で長い間苦しんできたのである。便秘が続いたかと思うと下痢になる。とくにストレスが貯まると症状がひどくなった。

 だから、ご主人はUEさんにできるだけストレスをかけないようにした。仕事は絶対に家に持ち帰らないようにした。そして、家にいる間はUEさんにできるだけ優しく接するよう心がけた。

 そのご主人に、UEさんは言った。

「私、この病気になって治療を受けて初めて、あなたの病気の具合が本当に理解できたわ。おなかの具合が悪いっていうのは、ほんとうに苦しいことが分かったわ」

 ご主人はうなずきながら答えた。

「僕もいまのきみがどのくらい苦しいかがよく分かるよ。でも、頑張るしかないよね」

 そうして、10回目の治療が終えた。

*このブログが「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」(文芸社)という本になっています。読んでみてください。

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