どうして私が胃がんに?(UEさんの場合)~抗がん剤の効果

 10回目の治療が終わったところで、治療の効果を確かめるCT検査が行われた。その写真を見ながら、主治医は言った。

「UEさん、少しですがむしろ腹水は増えています。おなかの症状もあまり変わりがないようですし、痛みも同じようですね。残念ながら、今までの治療は効果がなかったようです」

「それで、これからどうするかなんですが、ちょうど研究段階の新しい抗がん剤があるんです。それを試してみませんか?これは研究中の薬なので、治療の費用はかかりません」

「ただ、本当に効果があるかどうかや副作用がどうかは、やってみないと分かりません。実験材料になるとお考えください。これを臨床治験といいます。誓約書がありますので、それに署名していただければ、その薬を使って治療を始めます」

 UEさんは、今度も迷うことはなかった。

「ぜひ試してください」

 今回の抗がん剤はすべて点滴で行われた。下痢は起こらなかったが、吐き気は出た。ただ、そう長くは続かなかった。白血球は減った。それを増やす薬を使いながら、2回目の治療が始められた。髪の毛が抜けた。くしを通すと、ざっくりと抜けた。

 しかもこんなに副作用が出たのに、2回目の治療途中でおなかが急にふくれてきた。腹水が急に増えたのである 。

 主治医は言った。

「UEさん、残念ながら新しい薬も効果がないようです」

*このブログが「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」(文芸社)という本になっています。読んでみてください。

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