どうして私が胃がんに?(UEさんの場合)~鼻から入った管を抜く

 訪問看護師から腸が動いて便が出たと報告を受けた私は、あしたどうしようかと考えた。たとえ腸が動いたとしても、管を抜いてしまえるほどには動いていないに違いない。

 その状態で管を抜いてしまうと、必ずまた吐くことになる。でも、一度試してもいいのではないか。うまくいけばそれでいいし、もし吐いてしまったら、その時に管を入れ直せばいい。それに、一度でも管を抜くことができれば、その間は少なくとも楽になる。

 翌日、訪問して私は最初に言った。

「便が出たと聞きました。おなかも動いているそうですね。じゃあ、私も確かめてみます」

 そう言って、私は聴診器をおなかに当てた。確かに、少し腸が動いている音が聞こえた。

「一度試しに管を抜いてみましょうか?確かに腸は動いていますが動きはあまりよくないので、管を抜いたあとは、口からものを入れるのを減らすことにしましょう」

「そうすれば、急に胃と腸の中にものが貯まってしまうことにはならずに済みます。そうしても、もし吐いてしまうようなことが起きた時には、仕方がないですから、また鼻から管を入れ直します」

 私はUEさんの鼻から管を引き抜いた。UEさんは言った。

「先生、ありがとうございます。管を入れて1か月以上になってました。すっきりしました」


 UEさんは、このあと久しぶりのお化粧をした。UEさんは、自分の顔をきれいにするが好きだった。目鼻立ちのすっきりしたUEさんは、確かに化粧をすると際立ってきれいになった。

「ああ、やっと本当にもとの顔になったような気がするわ。このままおなかがふくらんでこなければいいわね」

 ご主人も言った。

「やったね。これで大丈夫ならいいね」

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