肝転移のある直腸がん(CBさんの場合)~2週間ごとにくりかえす抗がん剤治療

 CBさんの吐き気はまもなくおさまった。CBさんは言った。

「がんを治すんだから、こんなもの大したことはないよ」

 奥さんは言った。

「でも、食べられない日が続いたら、体力がなくなっちゃうわよ。そしたら、がんに負けちゃうじゃない。お酒はだめだけど、どんどん食べなきゃね」

 CBさんはお酒が好きだった。しかし、がんを治すためならと、断酒した。

「酒を飲みたいとは思わないよ。治るまではね。これからなんでも食べるようにする」

 2週後に外来診察を受けた。血液検査で少し白血球が減っていたが、大丈夫だと言われ、2度目の抗がん剤治療をすることになった。

 抗がん剤点滴はCVポートというところに刺して続ける。家に帰って、およそ50時間後に抜く。これが奥さんの仕事である。

 抗がん剤治療が始まると、かならずおなかが痛んだ。しかし、これは腹痛止めの薬でよくなった。ただ、肛門からは出血が続いた。血の混じった便の匂いはきつかった。そのため、CBさんのトイレのあとの始末をするのが、奥さんは本当にいやだった。

 抗がん剤点滴はそのまま2週間毎に続けるということになった。何回か終わった時、奥さんがどんな具合なのかを主治医に聞こうとすると、主治医は言った。

「私は手術の合間に来ているので、時間がないんです。点滴は4回が終わりましたから、きょうはCTを撮って帰っていただきます」

 CBさんの奥さんは、こう言われてなにも言えなくなった。

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