サルビアの会12月家族の会(その1)

 今回は、私が行ってきた小中学生への喫煙防止教室の話で始まりました。

 私はここに赴任した21年前、それまで大学病院で専門に行ってきたがんの治療、とくに肺がんの手術治療の経験をどう活かしていこうか考えていました。

 そして始めることにしたのが、肺の手術の写真を見せて行う喫煙防止教室です。

 タバコで汚れた肺、自分で吸わなくても家族の吸うタバコで汚された肺、それに肺がんや肺気腫の実際の手術写真を子どもたちに見せて、タバコの怖さを体験してもらうことにしました。

 市の教育委員会に申し入れて、7つある小学校と3つの中学校で年に1回必ずやることにしました。

 何年次の子どもたちを対象にするかを考えました。小学生は5年生か6年生かですが、6年生ではもう吸い始めている子がいるという話を聞いて5年生にすることにしました。

 そして、私の話を聞いた感想文を必ず書いてもらうことにしました。

 すると、ちょうど5年生くらいの年頃は素直な気持ちの残っている状態のせいか、初めて見る写真に素直に驚き、自分はそうなりたくない、タバコを吸っている家族にもそんな風になって欲しくないということを感想文に書いてくれました。

 中学生は2年生に話すことにしました。ですから、古河市の子どもたちは小学5年と中学2年の2回私の話を聞くことになったわけです。

 中学2年生には小学5年の時に見せた写真と同じ写真をもう一度見せ、さらにグラフや絵を使ってタバコの害を教える形にしました。

 さらにそのあと、小学5年生の時に書いた感想文に私の一言コメントを付けてそれぞれに返却しました。

 また中学2年次に話した効果を確認するために、中学3年生にアンケートを取ることにしました。とうよりも中学3年次にアンケートを取るために話は中学2年次にすることにしたというのが正しいです。

 その結果が興味あるものでした。最初にアンケートを取った年の中学3年生は私の話を一度も聞いたことがありません。

 そのアンケートでは、一度でもタバコを吸ったことがあるという喫煙経験率が25%もあったのですが、10年後の同じ内容のアンケートでは喫煙経験率が4%まで減っていたんです。

 それを見て、私は一瞬『やった!』と思いました。でも、年度ごとに結果を追ってみると、喫煙経験率が下がったのは学校の敷地内全面禁煙が始まった年からだということが分かりました。

 やはり、行動を規制することが一番効果があるということが分かりました。私の話を聞くことも、多少は影響があったと思いたいですが・・・。

 この事業は、10年前の合併を機に止めざるを得なくなりました。合併によって大きな市になった新しい古河市では、小中学校の数が30数校にまで増えたからです。

 今までの3倍を超すことになりましたから、そこに必ず年1回話に行くことが物理的にできなくなったのです。現在は、希望する学校に私の都合のつく時間を合わせてもらい行っています。

 それでおおよそ年に10数回になりますが、合併前と大きな違いがないので無事に続けています。

 その話のあとに必ず質問コーナーを設けていますが、とくに少学5年生は驚きとともにいろいろな質問をして来ます。

 少しでも吸ってしまったことのある子や家族が吸っている子は、『どのくらいの時間できれいになるの?』と真剣に聞いてきます。

 少し考える子は、『タバコ以外にがんの原因になる煙や毒はあるの?』と聞いてきます。そして当然、『どうしてそんな体に悪いものを売ってるの?』という質問が来ます。

 それらに一つひとつ答えて教室を終えます。

 今ではときどき届くだけになった感想文を読ませてもらうと、こちらも変わらない新鮮な驚きに目を覚まされる思いになり、この教室を可能な限り続けて行こうという気持ちが改めて湧いてきます。

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