サルビアの会3月患者会(その3)

 IKさんが言います。

「そろそろ点滴は20回ちかくになります」

「だんだん血管を探すのが大変になってきたみたい」

「でも、まだポートは入れていない」

「入れたくないんですよ。入れる前に死んでしまいたい」

 IKさんが続けます。

「抗がん剤のせいで味は分からない」

「だから食べる楽しみがない。1日時間をつぶすのが大変です」

「でも、ときどき友達が来てくれますから一緒に食事に行きます」

「肉はだめですが、刺身は大丈夫。わさびを多くするとオーケーなんです」

「でも、一番いいのは塩おむすび。中には梅干し入れたやつ」

「これがさっぱりして一番いい」

 OMさんが言います。

「そうですね。サッパリ味が一番ですよね」

「でも、私は甘いものもいい。甘いものは濃い味がいいですね」

 IKさんが言います。

「抗がん剤治療を始める前は70キロ近くあった体重が今は56~7キロです」

「10キロ以上減っちゃいました」

「抗がん剤を始めたころは真っ暗闇の中にいました」

「主人を亡くして独り身ですから、ポツンとひとりで部屋にいると、その部屋を全部壊してしまいたい感じになってました」

「やけっぱちでした」

 IKさんが続けます。

「でも、友だちが救ってくれました」

「友だちは未亡人が多いんです。その友達が食事に誘ってくれるんです」

「お返しにいろいろ持って行きます」

「旦那さんのいる友達のところへ行くと、その旦那がお酒を持ってくるんです」

「『これはうまい酒だから飲んでいきな』なんて」

「私はお酒が飲めるので言いました。『早く飲ませて!車で来てるから、お酒が体に回る前に家へ着けるように急いで飲んじゃうよ』」

 IKさんは豪快です。

 それを聞いてAIさんが言います。

「IKさんは幸せだ。好きなことを言って、好きなことをやって。それで死にたいだなんてもってのほか」

 IKさんが言います。

「私は幸せじゃない。不幸せですよ」

「私の命は限られてる」

「だから、できるうちになんでもやりたいし食べられるものを食べたいって思うだけ」

「不幸せですよ」

(つづく)

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