もう一度歩きたい(KKさんの場合)~どうしてあの時がんが見つからなかった?

 自分で下半身を動かすことができなくなったKKさんは、どうして自分がこんなことにならなきゃいけなかったのかと毎日毎晩くり返し思う。

「そもそも最初に血尿があった時に、どうして見つからなかったんだ?あの時に見つかって治療されていれば、こんなことにはならずに済んだはずだ」

 KKさんは悔しくてたまらなかった。どうして最初の検査で全部のがんが見つからなかったのかと思う。

 がんを自分で治してやろうとも考えたが、もう自分の力ではどうしようもないようだ。

 マヒが進み、痛みが強くなる。痛みが強くなると貼り薬が増やされる。どんどんがんは進んでいるようだ。KKさんは、ときどき「もうあきらめたほうがいいか」と考えるようにもなった。

「もうこのまま最期を待つしかないのか?」

 しかし、もう一方で「なんとしても治してやる」という思いが強かった。自分の力でなんとかもう一度歩けるようになりたいと思う気持ちが強かった。

 このジレンマのため、夜もよく眠れない日が続くようになった。しかも、ときどき刺すような痛みが起こる。レスキューのモルヒネ剤を飲んでも痛みが治まらない時には、必ず奥さんを起こし、背中をさすってもらった。

 奥さんの温かい手が痛みを和らげてくれた。奥さんにさすってもらっているうちにKKさんは眠りにつくことができた。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと~さまざまながんの素顔と元気な患者たち」という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

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