家族の絆(TNさんの場合)~最後の家族旅行

 二人の娘が私にTNさんを温泉に連れて行きたいと言ってきた。私はまったく問題ないと言い、TNさん本人の気持ちを確認した。TNさんも、是非行きたいと言った。長女の夫が自分のワゴン車でみんなを連れていくという。

 TNさんは、子供たちが小さかった時に行ったことのある家族旅行を思い出していた。実は、この家族旅行はTNさん自身が言い出したことだったのだ。

 結婚して隣町に住まいを持ったため家に来ることが少なくなった長女に、うつ病にまでなりながらTNさんをひとりで介護する次女の姿を見せてやりたかった。

 TNさんはベッドに休む姿勢のまま、みんなに抱えられてワゴン車に乗せられた。一番痛みのない姿勢で車に乗せてもらったのである。車は、1時間ほどで目的地に着いた。今度は、車に乗っていた時と同じ姿勢のまま、宿の部屋まで運ばれた。

 みんなは温泉に入ってきたが、TNさんは、初めから温泉に入るつもりはなかった。温泉宿の料理もほとんどのどを通らなかったが、それで構わなかった。みんなが自分のために気持ちを一緒にして行動している。TNさんは、それを見ているだけでよかった。

 二人の娘が私にTNさんを温泉に連れて行きたいと言ってきた。私はまったく問題ないと言い、TNさん本人の気持ちを確認した。TNさんも、是非行きたいと言った。長女の夫が自分のワゴン車でみんなを連れていくという。

※このブログが本になりました。「がんになって分かったこと」(副題「さまざまながんの素顔と元気な患者たち」 )という書名で、文芸社からの出版です。ネット販売もしています。

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